「これもいずれ、赤く変わるわ」

ブログタイトルに意味はない

迎えた夜明けに祝福を

 『MESSIAH 黎明乃刻』大千秋楽おめでとうございます。そして、キャスト、スタッフの皆様、全19公演お疲れ様でした。

 上演時間約150分+カーテンコールの濃密な時間。席にいる間で気を抜くことを許されたのは暗転の瞬間くらいでした。(体力ないのに朝から仕事→観劇(木曜夜)→朝から仕事→観劇(金曜夜)→観劇(土曜昼)→観劇(土曜夜)なんてスケジュール組むのメサイアくらいです。メサイア以外ではしません。)

 初日で観て、チケットを増やし、劇場に入る度に新しい発見をさせてくれた良い作品でした。心身の調子を考えてチケットを取りスケジュールを組む人間なので、普段あまり増やすことはないのですが…もう少し体力つけてあと何回か劇場で観たかったな…。

 

(以下は全ての文末に「※個人の感想です」がつきます)
 黎明乃刻、作品についての話をします。
 観た直後に感じたのは、よく黄昏の荒野までの人間関係をまとめられたな~!ってことでした。
 小暮(橋本真一さん)、雛森(山本一慶さん)、園(ユラン)(村上幸平さん)の三人の関係、元照る日の杜の御神体と信者だった穂波(セレブロ)(石渡真修さん)と及川昴流(メテオリット)(三原大樹さん)、そして万夜様(長江崚行さん)と杉浦レネ(近藤頌利さん)…。開幕時点でこんなに問題抱えた人間関係が存在しているのに、終わる頃には概ね解決しているんですよね。各々にもう一作品分の描写がほしかったな…とは思いましたが、限られた時間の中で、シリーズ完結作を謳う『黎明乃刻』でまとめてくださったことに感動と感謝でした。ありがとうございます。
 新キャストである藤戸(山崎大輝さん)とラスール(菊池修司さん)が所属する公安五係特殊部隊(通称「ヒガンバナ」)も良かったな…。メサイアはサクラ候補生の戦いを描く作品である以上、構造として日本対他国(刻シリーズなら北方連合)もしくはテロ組織(第三の闇、照る日の杜など)になるわけで。その構造の中にはサクラと対照的な存在が何人も出てきたと思うんです。今回はヒガンバナの二人がそうかな、と。メサイアを持たない公安五係。藤戸は台詞でメサイアを否定し、そして二人とも誰かに助けられることを望まず誰かを助けることもなく一人ずつ散っていく様が儚くて…。コードエッジでヒガンバナスピンオフとか出していただけませんかね。
 それにいろいろなところで刻シリーズ過去作品の要素が散らばっていて(例:OPスクリーン映像)、複数回観るうちに「これはあの作品の…!?」となれたのが幸せでした。私は刻シリーズと鋼ノ章(DVD)しか知らないので、それより前からメサイアを追いかけていたファンの皆様には「ここは!」というポイントがあったのかな?


 そしてこの記事の本題。
 私がこのブログを更新するからには書くことは万夜様のことです。(他登場人物についても思うものは勿論あるんですが、私では拙い言葉にしかならなそうなので、割愛)

 万夜様ってご家族いらっしゃらないんです。いや突然何書いてんだこいつと思われるかもしれないんですけど!! いないんですよ! 両親はいたでしょうけれども、赤子の頃教団に拾われた万夜様は両親を認識してなくて、家族を知らないんです!*1
 なら照る日の杜では?あそこは『月詠乃刻』で園が信者のことを「家族」と形容していたじゃないか、照る日の杜では一同互いを家族のような関係を形成しているのでは…?と推察できますが、その中に生まれながらのご神体であった万夜様が入っていたとは考えにくいです。信者にすら顔を晒さないのがご神体なので(だから謁見を許されたことのある柚木小太郎ですら顔は知らなかった)……。
 照る日の杜では誰も彼もが万夜様を神様として扱った。神樹さまでなくなった後は、『月詠乃刻』で柚木小太郎の、たった一人の神になった。『黄昏の荒野』までの万夜様は「神様」で在り続けていた。
 そして迎えた『黎明乃刻』での杉浦レネのあの言葉。

「俺のメサイアになってくれ!」
「俺は、お前と家族みてえな関係になりてえんだ」

 初日に聞いたときは、そう来るか~~!!!!杉浦レネはそう来るか!!!!君の!アプローチはそうなのか!!!!と悶えそうになりながら耐えていました。
 万夜様と小太郎は互いにたった一人の神で、お互いの唯一無二なんですよ。「たった一人のための」神様。だからいくらレネが新しく与えられたメサイアと言えど、万夜様はレネの神様には断じてならないだろうと考えてました。レネの方も神様を求めてはいなさそうでしたし。
 でもレネが万夜様と家族(みたいな関係)になるのならそれはそれでまた別の唯一無二では!!?と…。万夜様にとってのたった一人の家族…レネにとっても(本人の言では血の繋がった家族は全員喪ったようなので)守るべきたった一人の家族なのでは…?
 このやり取りの後に起きた対藤戸戦にある、
 「見せてやろうぜ、メサイアってのがどんなものか!」
 「…ああ、そうだな!」
で構える二人の姿に小太郎の姿も見えてしまい、「これが…メサイア…!」と私の精神がクライマックス。ただでさえ直前のガラ(輝馬さん)対ラスール戦でガラの恰好よさにしびれていたし、畳みかけるように小暮、雛森、園の結末が来るのは本当しんどかった。

 すべての人々に平等な闇であれと名を付けられた万夜様が、月詠と黎明を越えたことで夜明けを迎えられたのなら、祝福する他にありません。
 本当におめでとうございます。

 

 更なる万夜様のご活躍をこの目で見る機会が与えられるように祈って。

 

*1:原作小説『月詠乃刻』物販会場購入特典書き下ろし『誰がために生まれ変わる』より「(略)すぐにどっかの赤ん坊拾ってきて新しい神樹さまにしたてあげるつもりのくせに」 楽天等でCODE EDGE2巻のSS付版電子書籍を購入すると読めます